タロット四コマ練習

1:吊るされた男の正位置

2:世界の正位置

3:星の正位置

4:太陽の正位置

1:誰もいない丘の上に、ただ1人きり、木に吊るされた男がいました。彼は片足だけ紐に括られ、頭を地に足を天に真っ逆さま。もしも誰かが彼の姿を見ていたら、きっと妖か気のおかしくなった人間だと思ったに違いません。なぜなら、逆さに吊るされている男の表情は明るく、清々しささえ感じるほど輝いていたからです。彼は丘の上の木に吊るされ、世界の隅々まで目を凝らし、ずっと考え続けていたのです。この世をより良くする方法を。一陣の風が吹き、ひとひらの葉っぱが落ちた瞬間、ついに彼は素晴らしいアイディアを閃いたのでした。

2:彼は自らが考えついたアイディアを元に世界をぐるりとまわり、様々な人に話を説いてまわりました。どうすれば人々が手を取り合い、争いの無い幸せな世界が訪れるのかを。彼の言葉は聞く人の心を捉え、誰もが彼の話に耳を貸し、素晴らしいアイディアに感銘を受けました。世界中の人々は武器を捨て、手を取り合い、皆が協力して完璧な世界の創造へと動きだしたのです。その中心に立っていた男は皆の幸せそうな笑顔を見て満足し、その場を立ち去りました。

3:男は長い時間をかけて考え続けてきたのです。人生のほとんどを世界の平和のために、より良い世界になるように、誰もが希望を持てる素晴らしい世界を創造するために。それはとても孤独な旅でありました。しかし男の信念は輝く星のように気高く、湖のように澄んでいたのです。美しい花を咲かせる人間は、孤独な時を過ごすものです。そう、彼のように。

4:男は再び世界中を旅してまわりました。世界は以前のような争いや苦しみの無い素晴らしい世界に変わっていました。大きな太陽が地上の影を照らし出し、人々はようやく訪れた平和に喜び、恵みの季節に歓喜の声をあげます。全ての道には草花が咲き乱れ、凍てついた心と体を温めます。誰もが幸せとなった世界で男は大きく手を広げ、全ての生命に感謝を捧げるのでした。